私たちが普段病院でお世話になる「看護師さん」。
看護師さんは、正社員もいれば、非常勤・パートさんとしても活躍できるオールマイティーな職場環境。
そんな、優しく身近で頼りになる「看護師」という職業は、実はかなり人気のある職種だという事をあなたはご存知でしたか?
実際のデータを見てみると、小学生を対象にした「将来なりたい職業」のアンケートランキングの女子児童部門では、毎年必ずと行っていいほど上位にランクインしています。
そしてついに、2017年、日本FP協会発表のデータによると、栄えある「なりたい職業ランキング第1位」に「看護師」が輝いています。
https://www.jafp.or.jp/personal_finance/yume/syokugyo/
日本FP協会 小学生の「将来なりたい職業」集計結果より引用
私は先日、とある事故で鎖骨を複雑骨折し、しばらく入院する事になりました。
動けなくて暇というのもあり、人気職種である看護師さんがどんな気持ちで働いているのかが気になっていたのもあったので、せっかくなので看護師さんにナマの声をいろいろと聞いてみました。
「看護師さんて、今の職場や仕事内容に満足してるんですか?」
「もし、他の仕事に転職するとしたらどんな職業ですか?」
と訪ねたところ、とても興味深い答えが返ってきました。
「そうですねぇ、看護師も魅力あるけど、保健師も魅力あるので、実は看護師でも狙っている人多いですよ~」とのことです。
なるほど、人気職種である看護師が転職を希望する「保健師」という仕事はなんぞや?
ということが気になったので、引き続き看護師さんに時間の許す限り「保健師」について色々と聞いてみました。
目次
保健師になるための条件
厚生労働省のホームページに書いてあるのですが、
保健師免許を取得するには、
「保健師国家試験」と「看護師国家試験」
の2つの試験に合格しなければなりません。
一昔前は、「看護師免許」を取得してから「保健師免許」を取得する流れがあったようですが、ここ最近では、「看護師と保健師」のダブル受験を目指すことができる大学や専門学校も増えてきているようです。
2018年、国会試験合格者状況を確認すると、
看護師
- 受講者64,488名
- 合格者58,682名
に対して、保健師は
- 受講者8,191名
- 合格者6,666名
と、未だに看護師免許を取得する比率のほうが圧倒的に多い状況です。
合格率も実際には保健師のほうが悪く「81.4%」という数字になっています。
ここ数年の中では、特に芳しくない結果となっています。
これだけを見ていると、保健師になるためには、何か狭き門らしいものが見えてきましたが、実際に看護師さんたちは、そこまでしてなぜ、保健師への転職を望むのか?
実際に色々聞いてみることで、聞かなければ絶対にわからないリアルなメリット・デメリットが見えてきました。
それを順番に紹介していきます。
保健師は3つの種類がある
保健師と一口に言っても種類がいくつかあります。
その種類とは、「行政保健師」「産業保健師」「学校保健師」の3つです。
それぞれの特徴を紹介します。
行政保健師
行政保健師は、都道府県や市町村などの行政機関に従事する保健師の事です。
保健師の実に60%はこの行政保健師として活躍しています。
都道府県に勤務する保健師は地域健康法の施行により、広域的専門的な活動が多く、「公衆衛生」の専門家として働いています。
市町村などの保健師は、「地域住民」を対称とした活動で、保健センターや公民館でも、集団健康診断など、乳児・妊婦・成人・高齢者・障害者など含めすべての方への健康づくりへのサポートをしています。
わかりやすく言えば、市町村管轄が「保健センター」、都道府県管轄が「保健所」と理解するほうが良いです。
産業保健師
産業保健師は、企業・事業所で従事する保健師です。
産業保健師は、産業医とチームを組み、企業で働く従業員の「労働管理」「メンタルヘルス」など、あらゆる面での健康管理や疾病予防などを行っています。
50名以上の企業はもちろんのこと、1,000名を超える従業員のいる事業の約9割は、産業保健師が従事しています。
学校保健師
学校保健師は、行政保健師とあまり変わりませんが、小学校、中学、高校、大学や、一部の専門学校、私立学校などで働く保健師の事です。
実際に学校で「保健室の先生」になるには、保健師免許の他に「養護教諭」の免許も必要です。
学校保健師は生徒以外の教職員に対してもサポートを行っていきます。
保健師の勤務時間
保健師の勤務時間ですが、行政保健師は行政の時間内での活動になります。
産業保健師は、企業の一員ですので、各々の会社の就労時間にで務めることになります。
看護師さんなどに比べて土日休みがあるところが基本的に多く、残業もほどありませんので、週末や祝日の時間を自分都合で作れます。
保健師の給与
看護師さんに実際に聞いてみて分かった保健師さんの給与ですが、確かに魅力はありそうです。
産業保健師の給料は企業報酬になるため、勤め先が大手企業になればなるほど給与も良いい条件になるとこのことです。
ですが、実際に産業保健師は高収入待遇が多く、定年まで辞職する人があまりいないために、新規での採用枠が少ないという事情があります。
ほとんどは「仲間内での紹介」で入社する形、いわゆる「コネ」が必要な場合が多いようです。
中には、他企業からのヘッドハンティングで引き抜かれて転職するというケースもありました。
*大手企業の産業保健師に転職する方法は下記参照*
行政保健師の給料は看護師の初任給と比べてもそこまで変わらないようです。
が、保健師は子供が小さくても出来たり、勤続年数が経つにつれ、市町村で働く看護師よりも待遇が良く収入が増加傾向にあるようです。
看護師さんは総合病院などに勤めて準夜勤などもこなしていけば、仕事は大変でも収入面では美味しいようです。
ただ、年齢を重ねると流石に体が辛くなるので、保健師に転職したいと思っている看護師さんが多いとのこと。
若いうちは看護師として現場でバリバリ働き高収入を得て、チャンスを見て採用枠があれば保健師に転職し、残業も無くストレスフリーな仕事スタイルにシフトする、というキャリアを目指している人も多いようです。
保健師の年齢制限は?
産業保健師の場合には平成19年10月からの「雇用対策法」で全職種の年齢制限の禁止が義務化されています。
ですが、行政保健師などは公務員であるため、地方によっては特例で年齢制限を設定している行政もあります。
また、行政看護師などは立場的に国家公務員や地方公務員です。
公務員試験には年齢制限がありますので、子育て終わってから再就職を目指すといった場合は、基本的に30歳未満で試験に合格する必要があります。
保健師に転職するために、みんながこっそりやっていること。
本物の看護師さんから
「保健師に転職する為にこっそりと実践している方法」
を教えていただきました。
どの保健師を目指すかによってルートは異なるのですが、最終目的地が「産業保健師」である人は、産業医科大学や、その他ネームバリューがある大学、例えば旧帝大、聖路加、慶應、千葉大などに初めから入学して、ステップアップしてから就職活動をする方も多いようです。
行政保健師であれば、
- 教養試験
- 専門試験
- 論文試験
- 面接
と、たくさんのテストがあるので受かるまでの過程が大変です。
とにかく勉強と訓練と面接の練習が必要になってくるようです。
実際に保健師として行政で働くことができれば、普通の看護師さんよりも時間や休日、給与面でもさらに安定感があるようです。
看護師さんがぼそっと、言ってたのが
保健師はコネの世界でもある
と。。。
行政は実際、市町村の行政看護師として勤務してる時に、非公開求人としてたまに募集をかける場合もあるみたいです。
産業保健師は意外なところから繋がります
産業保健師になるために、看護師さんがひっそりとやっていること。
それは、転職サイト・転職エージェントに登録して、優良案件が出るのを虎視眈々と狙う、ということです。
オーソドックスなやり方ではありますが、いい人材を見つけるのが難しくなっている昨今の状況では企業側も転職サイトは無視できない存在のようです。
普通の求人と比べて少し特殊な求人なので新しい案件がポコポコ出てくるとは限りませんが、準備をしておくに越したことはないでしょう。
他にも、自力で積極的に有力なパイプを掴むために、医師会の集まりやパーティーなどに参加したり、企業系の飲み会に出向いたりして顔を覚えてもらおうと、人脈拡大を地道に行っている人も多いようです。
チャンスはすぐにやってこないから、やるべきことはただ1つ
保健師の募集は、ぶっちゃけ数が少ないです。
年間にそう何回も求人が出るわけではなく、求人が出たとしても、募集は1名~若干のかなり狭き門です。
希少なチャンスを逃さないために、保健師への転身を目指す人はまずは、求人サイトや転職エージェントに登録をして、あらゆるチャンネルから情報を集めてチャンスを待つようです。
ハローワークなどでもたまに求人が出ることがあるようですが、大手企業の産業保育士を目指すのであれば、有力な転職サイトへの登録が必須であるといえるでしょう。
まとめ
以上、現役の看護師さんから直接聴いた看護師が希望する転職先第1位「保健師」のお話でした。
国家資格を取って手に職つけた看護師さんも、体力がある若い頃はいいですが、年齢を増すにつれて色々な考えを持つようです。
結婚を機に看護師を辞めた方も、子育てが終わり復職を望む時には「保健師」か、パートとして「看護師」に戻るそうです。
安定しつつ高待遇でバランスの良い生活が望める保健師を本気で目指すのであれば、求人情報誌をチェックするよりも、実績あるサイトで情報をチェックするほうが早そうですね。
あなたの転職のお役に立てれば幸いです。